安倍保名(読み)アベノヤスナ

デジタル大辞泉 「安倍保名」の意味・読み・例文・類語

あべ‐の‐やすな【安倍保名】

浄瑠璃蘆屋道満大内鑑あしやどうまんおおうちかがみ」の登場人物。→くずの葉

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精選版 日本国語大辞典 「安倍保名」の意味・読み・例文・類語

あべ‐の‐やすな【安倍保名】

  1. 浄瑠璃「蘆屋道満大内鑑(あしやどうまんおおうちかがみ)」中の人物平安時代の天文学者安倍晴明の父として登場。狐との間にもうけた一子が、のちの晴明となる。

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デジタル版 日本人名大辞典+Plus 「安倍保名」の解説

安倍保名 あべの-やすな

古浄瑠璃(こじょうるり)「しのだづま」の登場人物。
摂津阿倍野(大阪府)の武士和泉(いずみ)(大阪府)の信太(信田)(しのだの)森で陰陽師(おんようじ)芦屋道満の弟石川悪右衛門におわれた狐(きつね)をたすける。狐の化身の女とむすばれ,生まれた子が安倍晴明とされる。この話は義太夫芦屋道満大内鑑(かがみ)」や歌舞伎舞踊保名」などを生んだ。

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世界大百科事典(旧版)内の安倍保名の言及

【蘆屋道満大内鑑】より

…異類婚姻譚として著名な信田妻(しのだづま)の伝承は17世紀後半からしばしば人形浄瑠璃や歌舞伎に取り上げられていたが,本作はそれらを集大成した作品。秘伝書《金烏玉兎集(きんうぎよくとしゆう)》をめぐる安倍保名(やすな)と蘆屋道満との対立を主筋とし,保名に助けられた白狐が許婚葛の葉姫の姿を借りて契りを交わし一子を儲けるという安倍晴明の出生譚を絡めたもの。竹本大和掾の風を伝える四段目口の〈葛の葉子別れの段〉がもっぱら上演されてきた。…

【安倍晴明】より

…その中では,かの藤原道長が法成寺(ほうじようじ)建立の工事現場におもむいたとき,愛犬の白犬が道長の歩行を阻んだので,晴明に占わせたところ,道長を呪詛する者ありと断じ,犯人の〈道摩法師(どうまほうし)〉の居所を当てたという話が興味ぶかく,道長の政敵の一たる左大臣藤原顕光の依頼で道長を呪詛した〈道摩〉とは,同じ話を伝える《峯相記》では〈道満(どうまん)〉であり,陰陽師として晴明と張り合っていた法体(ほつたい)の人物であった。この2人の,卜占をめぐる熾烈なる抗争は古浄瑠璃《信田妻(しのだづま)》(作者不明)や義太夫《蘆屋道満大内鑑(あしやどうまんおおうちかがみ)》(竹田出雲作,1734初演)などの名作として,既往の所伝や芸能をふまえつつ江戸時代前期に結実したが,そこでは晴明は摂津国の安倍野の武士である安倍保名(あべのやすな)が和泉国の信田(信太)森(しのだのもり)の狐(白狐)の化身である女と契って生まれた子だとしている。晴明にかかわる伝説の地は,陰陽師の拡散と定着につれて各地にひろがったが,ことに賤民層を多数含んだ下級陰陽師集団が生業たる卜占の技の権威づけのために晴明伝説を最大限に活用した面がつよかった。…

【信田妻】より

…陰陽師安倍晴明の出生にまつわる話と,蘆屋道満(あしやどうまん)との術くらべの話からなる。命を助けられた狐が人に姿を変えて安倍保名と契り子を生む。その子は安倍の童子と名づけられる。…

※「安倍保名」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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