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出典 日外アソシエーツ「歌舞伎・浄瑠璃外題よみかた辞典」歌舞伎・浄瑠璃外題よみかた辞典について 情報
…異類婚姻譚として著名な信田妻(しのだづま)の伝承は17世紀後半からしばしば人形浄瑠璃や歌舞伎に取り上げられていたが,本作はそれらを集大成した作品。秘伝書《金烏玉兎集(きんうぎよくとしゆう)》をめぐる安倍保名(やすな)と蘆屋道満との対立を主筋とし,保名に助けられた白狐が許婚葛の葉姫の姿を借りて契りを交わし一子を儲けるという安倍晴明の出生譚を絡めたもの。竹本大和掾の風を伝える四段目口の〈葛の葉子別れの段〉がもっぱら上演されてきた。…
…その子は安倍の童子と名づけられる。ある日,その正体を子に見られた母は〈恋しくは尋ね来て見よ和泉なる信太の森のうらみ葛の葉〉の歌を残して姿をかくす。悲しんだ父と子は信太の森に行き,母の狐から秘符と名玉とを与えられ,その験力で童子は陰陽師安倍晴明となり,後にその術で蘆屋道満を屈服させる。…
…《信田森女占(しのだのもりおんなうらかた)》(1713初演)においては,一条戻橋で待ち伏せた道満は,保名・晴明の親子を討ち取ろうとするが,逆にとらえられて首をはねられることになっている。さらに,〈信田妻〉系統の歌舞伎狂言の代表作で,《葛の葉》の名で知られる《蘆屋道満大内鑑(おおうちかがみ)》(竹田出雲作,1734初演)における道満は,はじめ道満(みちたる)の名で,安倍保名のライバルとして登場するが,三段目で発心剃髪して,道満(どうまん)と称し,陰陽道に専心することになる。四段目では,狐葛の葉と保名との間に生まれた童子と問答をし,その聡明さに感心して,童子を晴明と名づける人物として描かれている。…
※「葛の葉」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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