安国寺集落遺跡(読み)あんこくじしゅうらくいせき

国指定史跡ガイド 「安国寺集落遺跡」の解説

あんこくじしゅうらくいせき【安国寺集落遺跡】


大分県国東(くにさき)市国東町にある集落跡。弥生時代から古墳時代初期にかけて営まれた集落跡で、海岸から約2kmの田深川が形成する低湿地の段丘扇状地に所在する。集落を囲む溝状遺構、土器石器、建物部材や木器、種実類なども出土。これらの土器は、東九州の弥生時代後期を代表する標式土器として「安国寺式土器」と命名。炭化米も出土したことで九州における稲作を裏付ける遺跡として脚光を浴び、静岡県の登呂(とろ)遺跡に対して「西の登呂」とも呼ばれた。1992年(平成4)に国の史跡に指定された。当地は耕地面積の狭い脆弱な水稲耕作が行われていたこと、海と山に近い所に立地していることや出土した動植物遺体の特徴から狩猟、漁、採集にも大きく依存していたと考えられている。現在、弥生のムラ・安国寺集落遺跡公園として整備されている。JR日豊本線杵築駅から大分交通バス「国東」下車、車で約5分。

出典 講談社国指定史跡ガイドについて 情報

百科事典マイペディア 「安国寺集落遺跡」の意味・わかりやすい解説

安国寺集落遺跡【あんこくじしゅうらくいせき】

大分県国東市国東町安国寺前田にある弥生(やよい)時代の遺跡(史跡)。U字形に巡る溝に囲まれて,多数の柱穴群が発掘された。九州では数少ない低湿地遺跡として有名。弥生土器石庖丁などのほか,鍬(くわ),杵(きね)などの多数の木器や建築用材,植物種子類が発見され,〈西の登呂遺跡〉ともよばれている。

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