宋の美術(読み)そうのびじゅつ

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「宋の美術」の意味・わかりやすい解説

宋の美術
そうのびじゅつ

中国,宋時代は太祖の建国 (960) から 320年間に及ぶが,12世紀の初め,金に追われて宋室が南渡する時期をもって北宋南宋に分ける。北宋時代は花鳥画における黄・徐二体や,李成,范寛,郭煕らの山水画風のように,後世画壇に圧倒的影響を与える様式の出現をみ,唐,五代の制度を継いでつくられた宮廷画院とすぐれた院人の活躍によって,中国絵画史上の頂点を形成した。また北宋末に始る士大夫,教養人による水墨の花卉雑画も,後世の文人画の典型とされた。南宋時代も引続き画院を中心に絵画活動が活発で,李唐,馬遠,夏珪らによるいわゆる院体画風の成立をみ,末期に近く牧谿,玉澗らの画僧の余技水墨画にすぐれたものがあった。宋代はまた中国陶磁の黄金時代であり,官窯にとどまらず磁州窯,定窯,汝窯などで生み出された作品は,海外に輸出されたものも少なくない。

出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報

今日のキーワード

苦肉の策

敵を欺くために、自分の身や味方を苦しめてまで行うはかりごと。また、苦しまぎれに考え出した手立て。苦肉の謀はかりごと。「苦肉の策を講じる」...

苦肉の策の用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android