宛行い(読み)あてがい

精選版 日本国語大辞典 「宛行い」の意味・読み・例文・類語

あてがいあてがひ【宛行・充行】

  1. [ 1 ] 〘 名詞 〙 ( 動詞「あてがう(宛行)」の連用形の名詞化 )
    1. 割り当てて与えること。また、相手の要求によらないで、適当に見積もって与えること。また、そのもの。
      1. (イ) 品物、食物などを適当に与えること。また、そのもの。
        1. [初出の実例]「在陣中兵粮つづき候様に、あてがい簡要に候」(出典:信長公記(1598)一五)
      2. (ロ) ある状態にしてやること。ある状態が与えられること。また、その状態。
        1. [初出の実例]「めいようじゃ・産むとたる乳はおあてがひ」(出典:雑俳・軽口頓作(1709))
      3. (ハ) 所領俸祿などを与えること。あておこない。近世では領主から家臣へ下給される知行扶持、また、雇い主から雇い人へ渡される手当て。岡山藩や日本海側の諸藩では、貧しい武士に与えた、生活保障的な暫定的祿をいう。
        1. [初出の実例]「賢人をもとむるには、よくふかき小人のあてかいにてはちかよらす」(出典:仮名草子・清水物語(1638)上)
    2. 心をくばること。配慮。とりはからい。
      1. [初出の実例]「これ上方の御目に見ゆべからず。若見えば、余りに賤しくて、面白き所あるべからず。此あてがひを能々(よくよく)心得べし」(出典風姿花伝(1400‐02頃)二)
  2. [ 2 ] 〘 接尾語 〙 数量を表わす語に添えて、それだけの数量のものを割り当てる意を表わす。
    1. [初出の実例]「越後衆、陣の時、一人に三人あてがひに、朝食を調させをき候」(出典:甲陽軍鑑(17C初)品三二)

あて‐おこない‥おこなひ【宛行・充行】

  1. 〘 名詞 〙 あておこなうこと。特に、所領や俸祿を処分し、給与することにいう。あてがい。
    1. [初出の実例]「向後何も初清水向之者共男女末々迄、保之丞殿より被下候御宛行、其外公儀より相渡来候分」(出典:日本財政経済史料‐五・財政・諸費・親族給費・文政元年(1818)一一月)

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報 | 凡例

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