日本歴史地名大系 「室川貝塚」の解説
室川貝塚
むろかわかいづか
出典 平凡社「日本歴史地名大系」日本歴史地名大系について 情報
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沖縄本島中部の沖縄市字仲宗根室川原にある複合遺跡で,縄文前・後・晩期に対比され,地点を異にして弥生時代以降に比定できる先史遺跡も確認された。本遺跡は石灰岩台地の北東端崖下に広がる緩斜面中央の畑地に形成され,標高は約90m。層序は場所によって異なるが,おおむね7枚前後で,地層中位には赤褐色の焼土層が全面に広がり,その上に縄文晩期相当(室川上層式,宇佐浜(うざはま)式)の暗褐色土がのり,下方には後期相当(伊波式,荻堂式,大山式,室川式,カヤウチバンタ式など)の混貝土層が堆積し,最下部の地山は前期末の室川下層式土器を含む。混貝土層では荻堂式と南九州の出水式との共伴関係がおさえられ,また伊波式と荻堂式との関係については前者が先行することが確かめられ,編年研究に重要な知見をもたらした。この混貝土層からは中国古代の夔竜(きりゆう)文など青銅器の獣形文に由来するといわれる骨製装身具類も多数発見され,注目された。
執筆者:高宮 廣衞
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
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