富沢磨崖仏群
とみざわまがいぶつぐん
槻木の北方に連なる丘陵、標高二九一・四メートルの愛宕山および猪倉山から南に延びる丘陵の突端、岩崎山の西麓に凝灰岩を高浮彫に彫出して造立される。県指定史跡。磨崖の大仏と通称される、像高二・四メートルの阿弥陀如来像は蓮華座に坐し、指先を欠くが定印を結ぶ。大粒の螺髪、大振りな丸顔、重厚な衲衣など、粗豪な表現であるが、地方としては見事なもので、嘉元四年(一三〇六)卯月二日の銘と「為父檀那恵一坊 藤五良」の銘文が読取れる。大仏堂の北方にある石窟内には丸彫坐相の六地蔵(像高約四七―七〇センチ)が彫出され、うち一体の壁面には徳治二年(一三〇七)の銘がある。
出典 平凡社「日本歴史地名大系」日本歴史地名大系について 情報
Sponserd by 