衲衣(読み)ノウエ

デジタル大辞泉 「衲衣」の意味・読み・例文・類語

のう‐え〔ナフ‐〕【×衣/納衣】

人が捨てたぼろを縫って作った袈裟けさのこと。古くは、これを着ることを十二頭陀ずだ行の一つとしたが、中国に至って華美となり、日本では金襴などを用いた七条の袈裟をいう。衲袈裟のうげさ。衲。
僧のこと。特に、禅僧をいう。

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精選版 日本国語大辞典 「衲衣」の意味・読み・例文・類語

のう‐えナフ‥【衲衣】

  1. 〘 名詞 〙 仏語。
  2. 糞掃(ふんぞう)死体包装などに使用し、もはや棄ててかえりみられなくなった布を縫い集めて作った衣。糞掃衣(ふんぞうえ)。衲(のう)
    1. [初出の実例]「納衣蔽寒体、綴鉢足飢嚨」(出典:懐風藻(751)初春在竹渓山寺於長王宅宴追致辞〈釈道慈〉)
    2. [その他の文献]〔翻訳名義集‐七〕
  3. ( 転じて ) 衲を着る者として僧、とくに禅僧をいう。衲。〔景徳伝燈録一一

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「衲衣」の意味・わかりやすい解説

衲衣
のうえ

納衣とも書く。世人の捨てた布を拾い、洗いすすいで修補縫綴(ほうてつ)してつくった袈裟(けさ)をいう。また、衣財(えざい)を細小割截(かっせつ)し、縫納してつくるところからいう。衲衣と糞掃衣(ふんぞうえ)は同じものとみられるが、糞掃衣とは衣財についての名称、衲衣は製法についての名である。5種の衣財(有施主衣、無施主衣、往還(おうげん)衣、死人衣、糞掃衣)による衲衣を、五納衣という。衲僧衲子(のっす)、老衲野衲(やのう)は、衲衣を着た禅僧の代名詞となっている。

[川口高風]

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普及版 字通 「衲衣」の読み・字形・画数・意味

【衲衣】のう(なふ)え

僧衣。唐・賈島〔崇聖寺斌公の房〕詩 日、山磬く 多年、衲衣壞(やぶ)る

字通「衲」の項目を見る

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「衲衣」の意味・わかりやすい解説

衲衣
のうえ

仏教の出家修行者が着用する衣服のこと。人々の捨てた布を拾って,洗い,縫合せたりして着用したのでこのようにいい,また糞掃衣 (ふんぞうえ) などとも称する。

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世界大百科事典(旧版)内の衲衣の言及

【衣帯】より

…七条袈裟と組み合わせて,横被(おうび)という幅広の帯状の付属品で右肩を覆う衣帯がよく用いられるが,宗派によっては横被を用いない。衲袈裟は衲衣(のうえ)とも称し,金襴や錦の生地で作った袈裟をさす。衲衣という語は,つぎはぎの衣という意味だが,現在ではもっとも立派な袈裟をさしている。…

※「衲衣」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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