寝違い(読み)ネチガイ

デジタル大辞泉 「寝違い」の意味・読み・例文・類語

ね‐ちがい〔‐ちがひ〕【寝違い】

寝違えること。寝違え。

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

改訂新版 世界大百科事典 「寝違い」の意味・わかりやすい解説

寝違い (ねちがい)

前の晩はなんともなかったのに,朝,目を覚ましてみると首が痛くて動かすことができないといった症状をいう。首の筋を違えたなどとも表現される。眠っている間中無理な姿勢を長時間続けたための持続的筋収縮の結果起こる。疼痛の発現機序の一つは,首の筋肉が長時間の収縮を強制されたためにその付着部に牽引が加わったためのものである。首の筋群が付着する骨膜部では,多くは腱として終わらないで骨膜に入り込む筋膜様組織として付着する。骨膜は痛みに敏感な組織であり,機械的刺激による痛みを起こすことになる。その部位はふつう,後頭部の頭蓋底で首の伸筋の付着部である。この部は上後頭神経の出る通路でもあるので,神経が刺激を受けると後頭部から側頭部,ときには前頭部にまで疼痛が放散することがある。もう一つの疼痛発現様式として,無理な姿勢での頸筋の持続的収縮が,その筋腹に痛みを引き起こすものがある。筋の持続的収縮によって筋の内圧は上昇し,小血管の虚脱と,ときには筋繊維の断裂も起こってくる。筋肉が収縮してもその長さの短縮は起こらないような筋肉の収縮の仕方を等尺性収縮といい,筋内圧の上昇と虚血の程度は高度である。寝違いの場合,首の位置は動かないで固定された状態で発生するので,頸筋は持続性の等尺性収縮を強いられたことになる。頸筋の筋腹の内圧は上昇し血流障害を引き起こす。しかし筋肉は持続性の収縮を強いられているので,そのための酸素を取り入れて代謝産物を洗い流すための血流を必要としている。酸素不足と廃用物質の蓄積が虚血性の筋肉痛の原因となる。また虚血と代謝産物の蓄積は炎症を引き起こし,筋肉内でのカリウムの移動や乳酸が発痛因子として働くことも疼痛の原因となる。治療は,首にカラーなどを装用して安静を保てば3~4日で痛みは消退する。消炎鎮痛剤の投与も有効である。類似の症状で注意を要するのは,頸椎椎間板ヘルニアによる神経根痛である。しかし,この場合の痛みは首だけでなく肩から上肢に放散することが多い。
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