翻訳|ischemia
局所の貧血で,乏血とも呼ばれ,全身性の貧血と区別して用いられる。流れ込む動脈血の量が減少するためにおこる。動脈が圧迫されたり,血栓などによって閉塞されたり,動脈硬化によって内腔が狭窄したりしたときにみられる。このような変化が動脈になくても,血管の収縮や拡張をつかさどる神経の作用によっておこることもある。また,ある局所に充血がおこると他の部分に虚血がおこることもある。
虚血がおこると,組織や臓器は蒼白となり,血量が減少するため,その組織や臓器の固有の色を呈する。温度も下がり,その部分の容積も多少減少する。また同時に組織や臓器の機能障害もおこすが,その程度は,その部分の組織や臓器の感受性,虚血の程度と持続時間,動脈の吻合(ふんごう)(血管の合流)の有無などにより左右される。一般には,分化の程度が高く,高等な機能を営む細胞ほど強く障害され,神経細胞は感受性の最も高いものの一つとされている。
執筆者:毛利 昇
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