朝日日本歴史人物事典 「寺西元栄」の解説
寺西元栄
生年:天明2.3.9(1782.4.21)
江戸後期の幕臣。字士貞。幼名虎之助。通称隆三郎,蔵太。幕臣寺西封元の次男。代官見習として陸奥各地に勤務,半田銀山(福島県)の支配に従事し,桑折代官として治績を上げた。父封元に養われた安藤野雁との交渉は終生続き,天保8(1837)年に西国筋郡代として豊後(大分県)日田へ転任する際も野雁を伴った。元栄は文芸に対する関心がきわめて強く,陸奥時代は本居大平門人のひとりとして和歌,国学を嗜み,日田では広瀬淡窓・旭荘と交友を持った。旗本のなかで好学をもって鳴る存在だったという。晩年は中風に悩み,人との接触を避けたと伝えられる。<参考文献>渡辺刀水『安藤野雁集』
(久保田啓一)
出典 朝日日本歴史人物事典:(株)朝日新聞出版朝日日本歴史人物事典について 情報