対句からなる四字熟語

四字熟語を知る辞典 「対句からなる四字熟語」の解説

対句からなる四字熟語

詩には「つい」という表現方法がつきものです。簡単に言えば、「鳥は歌い、花は笑う」のように、並んだ句の内容が、うまく対になるものです。右の例では、「鳥」と「花」、「歌う」と「笑う」が、意味的に対になっています。

 四字熟語にも、対句の形になるものが多くあります。二字ずつを対比することで、鮮明なイメージが生まれます。

 わかりやすい例から挙げると、たとえば、「はくしゃせいしょう」。海岸の美しい景色を表現したことばです。色名の「白」と「青」、風景の「砂」と「松」が対応し、絵画的なコントラストを作っています。

 あるいは、「せいこうどく」。晴れた日は耕作し、雨の日は読書するという、ゆったりした生活を表します。要するに「悠悠ゆうゆうてき」のことですが、「晴」と「雨」、「耕」と「読」を並べることで、日々の様子が具体的にイメージできます。

 「しゅにくりん」も対句です。豪華な宴会のことを、比喩を使って表現しています。酒は液体なので「池」にたとえ、肉は池の周囲にある「林」にたとえました。金持ち趣味の宴会も、対句表現のおかげで少し上品に見えます。

 「べん」はどうでしょう。周囲を気にして決断しないという意味の対句です。「顧」は振り返ること、「眄」は流し目をすることで、全体では「右を振り返り、左に流し目を送る」の意味です。動きの面白さが描写されています。

 少し難しいところで「はんぶんじょくれい」というのもあります。「繁文」は「繁雑な文」で、わずらわしい規則のこと。「縟礼」は面倒な礼儀作法です。役所などの作る無意味な規則を、皮肉に言う表現です。

 対句の中には、反対語を並べて作ったものもあります。

 たとえば、「ゆうしょうれっぱい」。生存競争強者が生き残り、弱者が滅びることです。「優」と「劣」、「勝」と「敗」は、互いに反対の概念を表します。

 あるいは「不易流行」。不易」は変わらないもの、「流行」は変わるもので、反対語のペアです。変化を取り入れつつ、根本に不変のものを持つことを言います。

 対句の形の四字熟語は、鮮明な印象が好まれるためか、数も豊富です。本書では、ほかに、「しんしょうたんかんこつだったいしゅうそうれつじつだんほうしょくはちめんろっめいぼうこう……」などの対句的な四字熟語を、詳しく取り上げました。

出典 四字熟語を知る辞典四字熟語を知る辞典について 情報

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