尊智(読み)そんち

改訂新版 世界大百科事典 「尊智」の意味・わかりやすい解説

尊智 (そんち)

鎌倉初期,13世紀前半に活躍した絵仏師法眼に叙せられた。生没年不詳。興福寺一乗院の絵所に仕え,のちに南都絵所座の一つ,松南院座を興している。彼の指揮下で制作された作品と推定されているのは1222年(貞応1)の《聖徳太子講讃図》(法隆寺)であり,記録の上では1207年(承元1)最勝四天王院御堂名所絵,24年(元仁1)四天王寺絵堂の《聖徳太子絵伝》および《九品往生図》を制作したことがわかる。鎌倉時代の南都絵所の実態を知るうえに手がかりを与える画人である。
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朝日日本歴史人物事典 「尊智」の解説

尊智

生年:生没年不詳
鎌倉前期に活躍した絵仏師。法眼に叙せられる。興福寺一乗院の絵所に属し,南都絵所座のひとつである松南院座の祖となる。建永2(1207)年に最勝四天王院に名所絵を描き,建保1(1213)年に法勝寺九重塔の壁画,7年に水無瀬殿大熾盛光法本尊,元仁1(1224)年には四天王寺聖霊院絵堂に「九品往生図」ほかを描くなど名所絵から仏画にいたる幅広い画技が知られる。現存作に承久4(1222)年制作の「聖徳太子勝鬘経講賛図」(法隆寺蔵)があるほか,「十六善神像」(東京国立博物館蔵)は尊智が元仁2(1225)年に永久寺で描いたとする説が近年提出されている。

(矢島新)

出典 朝日日本歴史人物事典:(株)朝日新聞出版朝日日本歴史人物事典について 情報

デジタル版 日本人名大辞典+Plus 「尊智」の解説

尊智 そんち

?-? 平安後期-鎌倉時代の絵仏師。
興福寺一乗院の絵所(えどころ)のひとつ,松南院座の祖とされる。藤原定家の日記「明月記」に,承元(じょうげん)元年(1207)最勝四天王院の障子に名所絵をかいた,とあるのが文献上の初出。建保(けんぽ)元年法眼となった。号は大輔房。現存作品に「聖徳太子勝鬘経(しょうまんぎょう)講讃図」。

出典 講談社デジタル版 日本人名大辞典+Plusについて 情報 | 凡例

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「尊智」の意味・わかりやすい解説

尊智
そんち

鎌倉時代の絵仏師。法眼。興福寺一乗院の絵所座に属し,松南院座の祖となる。建永2 (1207) 年鳥羽上皇の最勝四天王院の御堂に名所絵を,元仁1 (1224) 年四天王寺絵堂に『九品往生図』を描いた。法隆寺の『聖徳太子勝鬘経講讃図』 (1222) は真筆と推定される。

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