小切(読み)こぎれ

精選版 日本国語大辞典 「小切」の意味・読み・例文・類語

こ‐ぎれ【小切】

〘名〙
布地などの小さな切れはし。
俳諧・続一夜松前集(1785)「百貫の酒のおいめに家うりて〈成美〉 綾の小裂に書し笛の譜〈麦宇〉」
② 甲斐国(山梨県)に行なわれた武田信玄以来の特殊な税制。国中四郡のうち、三郡の田畑年貢の三分の一を金納(金一両につき米四石一斗四升の割)する制度。
地方落穂集(1763)五「甲斐国に大切小切といふ法あり」
③ (「こぎれもの(小切物)」の略) 歌舞伎で、俳優が舞台で使用する布製の衣裳付属品。手拭(てぬぐい)鉢巻足袋、脚絆など。上方では小道具をも含める。また、飲食物や雪などの「消え物」を含む場合もある。
滑稽本八笑人(1820‐49)五「衣裳・小切(コギ)れ・小道具一切呑込んだの」

こ‐ぎ・る【小切】

〘他ラ四〙
① 物を小さく切り分ける。また、小出しにする。
雑俳・削かけ(1713)「かくごのまへ・給分こぎりゃ身をこぎる」
一つ思考実験(1922)〈寺田寅彦〉「纒まったものを少しづつ小切って読んで行って」
② 値切る。〔日葡辞書(1603‐04)〕
狂言記仏師(1660)「あたひはこぎりますまい」
金品などをせびりとる。
※俳諧・本朝文選(1706)二・説類・出女説〈木導〉「給分の加増赤前垂をこぎる」

こ‐ぎり【小切】

〘名〙
① 物を小さく切り分けること。また、そのもの。
勇魚取絵詞(1829)上「納屋入口に帳役座(を)り、其奥に小切場ありて、二十人許居ならび、小切すること」
② 小きざみに値切ること。「値切り小切り」の形で用いる。
※茶屋諸分調方記(1693)二三「たとへ五分七分おきかへるとまま、ねぎりこぎりはせぬものなり」
③ 技(わざ)などが細かく手際のよいこと。

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