成美(読み)せいび

精選版 日本国語大辞典 「成美」の意味・読み・例文・類語

せいび【成美】

  1. なつめせいび(夏目成美)

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改訂新版 世界大百科事典 「成美」の意味・わかりやすい解説

成美 (せいび)
生没年:1749-1816(寛延2-文化13)

江戸後期の俳人。姓は夏目,名は包嘉。幼名は泉太郎。通称は井筒屋八郎右衛門(5代目)。初号は八良治。別に修行庵,随斎,四山道人などの号がある。江戸蔵前の札差の家に生まれ,16歳で家督を継ぐ。伯父祇明,父宗成以下成美一族は挙げて俳諧をよくし,彼も幼少より句をたしなむ。15歳のとき荘丹の《猪武者》に八良治の号で入集。初め2世祇徳に親しんだが,一流派に属さず,門戸も構えず,自ら〈俳諧独行の旅人〉と称した。虚弱多病で脚疾に苦しんだが,人柄は温厚篤実長者風格をそなえ,一茶の庇護者として知られる。〈しひて雅を求むべからず,つとめて俗を去るにあり〉(《四山藁(しざんこう)》)と去俗の論を説く。清雅で繊細な感覚の句が多いが,その反面,些末(さまつ)繊弱に流れる。また市河寛斎に学び,彼の平明淡彩な写生詩の影響を少なからず受けた。古書に精通して《随斎諧話》や《七部集纂考》等の考証的著作や注釈書を著し,文章に長じて多くの序跋をしたため,文集に《四山藁》がある。筆まめで1779年(安永8)から1800年(寛政12)に至る《杉ばしら》ほかの句日記を残す。編著は《糂汰瓶(じんだがめ)》《成美家集》など。追善集《三霜》。〈おち葉して日なたに立る榎かな〉(《随斎句藁》)。
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日本大百科全書(ニッポニカ) 「成美」の意味・わかりやすい解説

成美
せいび
(1749―1816)

江戸後期の俳人。夏目氏。名は包嘉。江戸蔵前の富裕な札差(ふださし)の家に生まれ、16歳で家督を継ぐ。通称井筒屋八郎右衛門(5代目)。父に習って幼時から俳諧(はいかい)を始め、15歳のおりに松庵撰(しょうあんせん)『猪武者(いのししむしゃ)』(1763)に八郎治の号で入集(にっしゅう)。翌年、成美と改号別号随斎、四山道人など。一時は2世祇徳(ぎとく)に親しんだこともあるが、流派に属さずに俳諧を楽しんだ。人格円満で長者の風を備え、几董(きとう)、重厚(じゅうこう)、巣兆(そうちょう)らと親しかったが、とくに一茶(いっさ)の庇護(ひご)者として知られる。句風は平明で清雅。文章にも長じ、文集『四山藁(こう)』(1821刊)や俳話集『随斎諧話』(1819刊)、注釈書『七部集纂考(さんこう)』(成立年不明)等があり、また、『杉ばしら』ほか9点の句日記も知られる。化政期江戸俳壇四大家の一人とされる。

[櫻井武次郎]

 白ぼたん崩れんとして二日見る

『石川真弘編『夏目成美全集』全1巻(1983・和泉書院)』

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百科事典マイペディア 「成美」の意味・わかりやすい解説

成美【せいび】

江戸後期の俳人。姓は夏目,名は包嘉。江戸蔵前の札差。通称井筒屋八郎右衛門。別号,随斎,四山道人等。特定の師をもたず,都会人らしい洗練・清雅な句風で大家の声望を得た。一茶の経済的庇護者としても知られる。句集に《成美家集》,編著に《随斎諧話》《四山藁》など。

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デジタル版 日本人名大辞典+Plus 「成美」の解説

成美 せいび

夏目成美(なつめ-せいび)

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「成美」の意味・わかりやすい解説

成美
せいび

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