小区(読み)ショウク

デジタル大辞泉 「小区」の意味・読み・例文・類語

しょう‐く〔セウ‐〕【小区】

明治初期の地方行政区画の一。大区をさらにいくつかに区分したもの。長として戸長を置いた。

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精選版 日本国語大辞典 「小区」の意味・読み・例文・類語

しょう‐くセウ‥【小区】

  1. 〘 名詞 〙 明治五年(一八七二)から同一一年までの地方行政区画の一つ。大区をさらにいくつかに分けたもので、戸長が統率した。
    1. [初出の実例]「一区に区長壱人小区に副区長等差置候儀」(出典:大蔵省第一四六号‐明治五年(1872)一〇月一〇日)
    2. 「私は東京第八大区四小区(セウク)の堀の内村、鍋屋の子分で横蔵と申します」(出典:歌舞伎綴合於伝仮名書高橋お伝)(1879)序幕)

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日本歴史地名大系 「小区」の解説


おたるく

明治三二年(一八九九)一〇月より大正一一年(一九二二)八月まで存続した行政区。ただし小樽市街の形成は近世末期からで、小樽市成立後も区制時代の市街地をもとに拡大していった。一八五六年(安政三年)和人女性のカムイ岬通行が解禁されるに伴いカツナイ川左岸を中心に町並が造られ,六五年(元治二年)幕府はヲタルナイ場所を廃して「村並み」とした(慶応元年六月「請証文」小樽市史など)。小樽略図(明治元年、「小樽区史」所載)ではカツナイ川両岸からヲタルナイ、さらにヲコバチ川右岸までが人家の密集地帯として描かれ、明治三年当時の「小樽内」は「西地第一繁華ノ地」であった(「北行日記」同年八月一二日条)

〔行政・流通の要所〕

明治二年七月、小樽内おたるないは兵部省の管轄となり、同年八月の国郡画定に伴い設置された小樽・高島たかしま両郡も同省の支配下で、小樽内役所が両郡を管轄した。同年九月旧会津藩士(第一次は三三八人、第二次は一〇六人)が小樽に移されているが(事業報告)、「会藩降伏人昨年中小樽内ヘ引移ノ節、天朝ヨリ米一升青銅二百文ツヽ御渡」という(「北行日記」明治三年八月二一日条)。明治二年一〇月判官島義勇が本府建設のため銭箱ぜにばこに赴き、開拓使仮役所を設置(北海道史)、同三年四月小樽に移転、小樽仮役所と改称(「事業報告」第一編)。同三年一月小樽・高島二郡の兵部省支配を止め、開拓使の管轄とする(小樽市史)。同八年小樽・高島両郡を管轄する小樽出張所は本庁に近いとして廃止、開拓使民事局の所轄とすることが定められた(「開拓使日誌」同年六月三日条)。同九年一〇月警察課小樽分署設置(同一五年小樽警察署となる)

明治一二年七月小樽高島忍路余市郡役所設置。同一三年同役所内に刑法局小樽出張所が置かれ、同一五年六月小樽治安裁判所が新設された。明治二年設置の手宮てみや海官所は同八年三月小樽船改所となる。同一一年四月函館税関派出所設置。同一三年陸運改良掛小樽派出所設置。明治五年郵便業務が始められ、同八年郵便局と称した。明治五年函館より札幌を経て小樽に至る八八里二五町余の電信線架線が行われ、同八年二月小樽電信分局が開局。同一四年五月には小樽港から余市までの六里一一町余の電信線架線が着手された。明治五年札幌―小樽間の一〇里余の新道を開通。同一一年一二月小樽―余市間の道路が開削された。同一三年一〇月幌内鉄道のうち札幌―手宮間が落成(以上「事業略記」)。同三三年一一月函樽鉄道株式会社は北海道鉄道と改称(北海道史)

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世界大百科事典(旧版)内の小区の言及

【区】より

…これらは大都市圏行政の多様化に対応するものであるが,大都市圏行政の総合性を阻害するとの批判もある。
[日本の区]
 日本近代の地方制度に〈区〉なる行政区画が本格的に登場したのは,1872年(明治5)の〈大区・小区〉の制定による。これは全国的な政治支配を目的として明治政府が設けた最末端行政区画である。…

【大区・小区】より

…1871年(明治4)4月に出された戸籍法が,戸籍事務遂行のため新しく区を設定し,戸籍吏として戸長・副戸長をおくことを命じたのが初めである。ついで翌年,戸長・副戸長と旧町村役人(名主・庄屋など)との間におこる権限の競合に対処するため,旧町村役人の廃止と区制による統一を命ずる布告が出され,大区・小区制は形をととのえた。大区・小区の規模や行政吏の名称は府知事・県令の裁量にゆだねられ,各府県で異なったが,数ヵ町村をあわせて小区をつくり,数ヵ小区をあわせて大区とし,大区に区長,小区に戸長をおくのが一般的であった。…

※「小区」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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