小山郷(読み)おやまごう

日本歴史地名大系 「小山郷」の解説

小山郷
おやまごう

和名抄」所載の郷。遠江国周智郡小山郷の訓注によりオヤマとよむ。郷名の初見は天平勝宝二年(七五〇)四月二二日の美濃国司解(東南院文書)に「加茂郡小山郷戸主上連稲実之賤」とあるもので、遅くとも奈良時代中期には成立していたことが知られる。比定地には諸説あって一定していない。「新撰美濃志」は現美濃加茂市東部の下米田しもよねだ地区小山こやまを遺称地としてそこにあてている。「日本地理志料」はこの説を継ぎ、郷域を下米田地区および飛騨川を挟んで対岸に位置する太田おおた古井こびの両地区も加えた広い地域としている。

小山郷
おやまごう

「和名抄」高山寺本は上野国山田やまだ郡に載せる。東急本・高山寺本ともに訓を欠くが、同書の遠江国周智郡小山郷には「乎也万」「乎也末」の訓が付せられており、また小山氏発祥の地でもあるので、同様に訓じてよいであろう。諸説一致して小山城跡のある現小山市中心部を遺称地とする。

小山郷
おやまごう

「和名抄」諸本にみえる郷名。高山寺本に「乎也末」、東急本に「乎也万」の訓がある。「遠江国風土記伝」は豊田とよだ郡小山村(現袋井市小山)とし、「掛川誌稿」なども同地とするが、「大日本地名辞書」は一宮いちみや(現森町一宮)付近とする。

出典 平凡社「日本歴史地名大系」日本歴史地名大系について 情報