国指定史跡ガイド 「小島陣屋跡」の解説
おじまじんやあと【小島陣屋跡】
静岡県静岡市清水区小島町にある陣屋跡。興津川右岸、標高約60mの河岸段丘上に位置し、身延道(みのぶみち)沿いの小島の町並みを一望できる。1704年(宝永1)に滝脇家の松平信治が陣屋を構えたのが小島藩の起源で、2万石以下であったため城を構えることを許されず、藩主の居所は陣屋として構築された。以後、1868年(明治1)に上総国(かずさのくに)に移封されるまでの164年間は、安倍、有度(うど)、庵原(いはら)の30ヵ村を支配する譜代大名として藩政を展開した。御殿の西側から南側の中心部にかけては石垣を多用し、3段の郭(くるわ)をもつ城郭風の縄張りが特徴で、石垣の高さは2m以下に抑えられているが、一部は4mに達するものもある。藩政の中心地であったが、明治時代に廃城となってからは小学校校舎などとして利用され、1928年(昭和3)には建物が取り壊されて、現在は石垣がその名残を留めるだけである。また御殿書院の建物は移築され、小島公会堂として利用されている。一般の陣屋と異なって表門が枡形の構えで城郭を思わせる石垣の保存状態がよく、江戸時代中期の大名陣屋のあり方と構造を知るうえで貴重なことから、2006年(平成18)に国の史跡に指定された。静岡鉄道静岡清水線新清水駅からしずてつジャストラインバス「栗原」下車、徒歩約5分。