日本大百科全書(ニッポニカ) 「小沢儀明」の意味・わかりやすい解説
小沢儀明
おざわよしあき
(1899―1929)
地質学者。山梨県の出身。1923年(大正12)東京帝国大学地質学科を卒業し、助手となる。1924年講師となり、「日本二畳石炭紀石灰岩の区分について」「秋吉台石灰岩を含む所謂(いわゆる)上部秩父(ちちぶ)古生層の層位学的研究」によって地質学会奨励金を受けた。ことに後者は、巨大な押しかぶせ褶曲(しゅうきょく)の実在を立証したことで、学界に大きな衝撃を与えた。1925年助教授に進み、翌年「古生代後及び中生代末に於(お)ける日本内帯の地殻運動」によって理学博士の学位とともに、学士院恩賜賞を授与された。1927年(昭和2)在外研究員として欧米留学し、アメリカのカッシュマンとの共同研究の有孔虫類の系統分類で優れた成果をあげて1929年帰朝した。しかし、その報告も発表しきれないうちに腸チフスに倒れ、同年12月に急逝した。
[石山 洋]