尾山(読み)おやま

日本大百科全書(ニッポニカ) 「尾山」の意味・わかりやすい解説

尾山
おやま

石川県金沢市の旧地名。戦国時代の金沢城跡と、その周辺の呼称加賀一向一揆(いっき)の拠点となった金沢御堂(みどう)(尾山御坊)を、佐久間盛政(さくまもりまさ)が落とし、金沢を一時期尾山と称した。その後、御坊跡地は金沢城となり、寺内(じない)町を受け継いで西町南町、堤(つつみ)町、松原町、近江(おうみ)町、安江(やすえ)町、金屋(かなや)町、材木町の城下町ができ、尾山八町といった。これらの町名は、位置は違うものもあるが現在も残っている。現在、城跡西部を統合して尾山町という。

[矢ヶ崎孝雄]

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百科事典マイペディア 「尾山」の意味・わかりやすい解説

尾山【おやま】

1583年(天正11年)から1596年(慶長1年)ごろまで,金沢に代わって用いられた地名。1580年の金沢御堂(加賀一向一揆の拠点)陥落後,柴田勝家配下の佐久間盛政が御堂跡を金沢城とし,1583年まで在城したが,同年4月前田利家が加賀に入部すると,従来の金沢に代えて尾山の称を使用した。利家が尾山に改称した理由は明確でないが,敵対した金沢御堂や佐久間盛政にかかわる金沢の称を避け,出身地尾張にも通じる尾山を用いたのではないかという説がある。利家没後,前田利長によって再び金沢に戻されたが,尾山の称も併用され,第2次大戦後も農村部では使用されていた。

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世界大百科事典(旧版)内の尾山の言及

【金沢[市]】より

…第2次世界大戦で被災しなかったため,城下町時代の町並みや遺構がよく残され,史跡,文化財も多い。重要文化財では建造物のみをあげても,尾崎神社社殿,尾山神社神門,金沢城三十間長屋,同石川門,成巽閣(せいそんかく),旧第四高等中学校本館など,また名勝として兼六園および成巽閣庭園などが有名。【斎藤 晃吉】
[金沢城下]
 加賀,越中,能登3国を領した前田氏の城下町。…

※「尾山」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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