居直る(読み)イナオル

デジタル大辞泉 「居直る」の意味・読み・例文・類語

い‐なお・る〔ゐなほる〕【居直る】

[動ラ五(四)]
座り直して姿勢を正す。居ずまいを正す。「―・って礼を言う」
急に態度を変える。不利の立場にある者が、急に脅すような強い態度に出る。「わびるどころか、―・って相手を非難する」
[類語](1)座り直す・居住まいを正す膝を正す/(2開き直るけつをまくる

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精選版 日本国語大辞典 「居直る」の意味・読み・例文・類語

い‐なお・るゐなほる【居直】

  1. 〘 自動詞 ラ行五(四) 〙
  2. すわり直す。
    1. (イ) いずまいを正す。
      1. [初出の実例]「ゐなほり、ひさしく待つもくるしく」(出典:枕草子(10C終)二二二)
      2. 「不図とびて後に居なをる蛙哉〈松下〉」(出典:俳諧・曠野(1689)二)
    2. (ロ) すわり直して、強い言動に出ようと構える。
      1. [初出の実例]「西光もとよりすぐれたる大剛の者なりければ〈略〉居なをりあざわらって申けるは」(出典:平家物語(13C前)二)
  3. きまった場所にきちんと身を落ちつける。
    1. [初出の実例]「敷皮の上に居直(イナヲラ)せ給ひて、〈略〉閑々と辞世の頌をぞ被書ける」(出典太平記(14C後)四)
  4. ( (ロ) から「すわり直す」の意が失われて ) 自分の立場が不利になったり、欠点弱点を突かれたりしたときなど、相手に対して逆に強い態度やおどすような態度に出る。
    1. [初出の実例]「木部はどうかすると居直るやうな事をしかねない男だと」(出典:或る女(1911‐19)〈有島武郎〉後)
  5. 後になって利(収入や役柄など)が多くなることをいう、芝居仲間の隠語
    1. [初出の実例]「居直る 後に利強ふなる事」(出典:南水漫遊拾遺(1820頃)四)

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