山水遊記(読み)さんすいゆうき(その他表記)shān shuǐ yóu jì

改訂新版 世界大百科事典 「山水遊記」の意味・わかりやすい解説

山水遊記 (さんすいゆうき)
shān shuǐ yóu jì

中国の散文のジャンルの一つ。自然の風景を遊覧した記録。美しい風景を描写する文章は,北魏の酈道元(れきどうげん)の地理書《水経注》にすでに見られるが,唐の柳宗元華南流謫(るたく)され,北方と異なる山水の美を自らの感慨をまじえて記述した《永州八記》が模範となり,その後,親しく遊覧した山水を記述する文学が多く作られた。宋代では,范成大《呉船録》,陸游《入蜀記》のように紀行文が単に旅程の記録にとどまらず,風景描写を含み,遊記の性格を持つものが生まれた。全国各地を遍歴したのでは,明の徐宏祖《徐霞客遊記》が有名である。ふつう文体は古文が用いられるが,清の洪亮吉駢文べんぶん)でも書いている。清代には呉震方編《説鈴》,王錫祺編《小方壺斎輿地叢鈔》のように山水遊記を多く集めた叢書も作られた。日本では,江戸末期の斎藤拙堂の《月瀬記勝》のような作品もあるが,山水詩ほど盛行しなかった。
紀行文学
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