山香庄(読み)やまかのしよう

日本歴史地名大系 「山香庄」の解説

山香庄
やまかのしよう

古代の山香郡域を中心とする地域に成立したとみられる庄園。庄域は明瞭ではないが、鎌倉―室町時代の文書や江戸時代の地名から推測すると、東は山香庄東手ひがしてとも称される大井川流域の地域(江戸時代には榛原郡に含まれる)、北は大結おおゆい福沢ふくざわ両郷(現佐久間町)熊切くまきり郷、西は西手にしてに属する裏鹿うらか(現佐久間町)瀬尻せじり大嶺おおみね(現龍山村)など、南は犬居いぬい郷、佐久さく八重山やえやま小松崎こまつざき小河おがわ(現天竜市)などが属した。このほか山香庄と冠する史料は見当たらないものの、奥山おくやま郷避前村(現佐久間町)も庄域に含まれていた可能性が高い。これらから、東は大井川中流域の現榛原はいばら川根かわね町・中川根なかかわね町、北は春野町、現磐田郡佐久間さくま町・水窪みさくぼ町、西は天竜市北部、南は春野町・天竜市北部となり、古代の山香郡の大部分と一部榛原郡が庄域に含まれることになる。ただし延文二年(一三五七)二月三日の遠江守護今川範国書下写(南狩遺文)によると、守護今川範国が紀伊熊野新宮の造営料国に充てられた遠江国国衙領の半分を、熊野側の抗議によって引渡す際、山香の村々のうち横山よこやま(現天竜市)は一円引渡すが残りの村々は「奥山凶徒」との抗争のため軍勢を置くので引渡さないこととしている。

成立の時期・経緯等は不明だが、平安末期に立庄されたものと思われる。

出典 平凡社「日本歴史地名大系」日本歴史地名大系について 情報

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