岩野市兵衛(読み)イワノ イチベエ

20世紀日本人名事典 「岩野市兵衛」の解説

岩野 市兵衛(8代目)
イワノ イチベエ

昭和期の手漉和紙製作者 全国手漉和紙連合会理事長。



生年
明治34(1901)年9月14日

没年
昭和51(1976)年10月7日

出生地
福井県今立町大滝

本名
岩野 栄一

学歴〔年〕
岡本村立清慎尋常小学校高等科〔大正5年〕卒

経歴
小学校を卒業するころから父・7代市兵衛や親族の岩野平三郎から奉書技法を習い、昭和16年8代市兵衛を襲名した。応召の中国で紙漉き工場を見学、復員後は全国を歩いて研究。23年これまでの加賀楮に代わる那須楮(茨城県)を探し当てた。木材パルプ混入の世相の中で、純楮を原料越前奉書を守り続け、43年重要無形文化財保持者に認定。35年には桂離宮松琴亭の襖壁紙を抄造した。また全国手漉和紙連合会の指導者として和紙界の向上に貢献した。著書に「紙漉のこと」がある。

出典 日外アソシエーツ「20世紀日本人名事典」(2004年刊)20世紀日本人名事典について 情報

デジタル版 日本人名大辞典+Plus 「岩野市兵衛」の解説

岩野市兵衛(8代) いわの-いちべえ

1901-1976 昭和時代の和紙製作者。
明治34年9月14日生まれ。手漉(てすき)和紙,越前(えちぜん)奉書の技法を父7代市兵衛と初代岩野平三郎にまなぶ。大正15年工夫のすえ,浮世絵木版画用の紙を完成。昭和16年8代をつぐ。35年桂離宮松琴亭の襖(ふすま)壁紙を製作。43年越前奉書で人間国宝。昭和51年10月7日死去。75歳。福井県出身。本名は栄一。

岩野市兵衛(9代) いわの-いちべえ

1933- 昭和後期-平成時代の和紙製作者。
昭和8年9月28日生まれ。8代岩野市兵衛の子。中学卒業後,家業の越前(えちぜん)奉書づくりを手つだう。父から楮(こうぞ)だけで和紙をつくる「生漉(きす)き奉書」の伝統技術をうけつぎ,9代市兵衛を襲名。平成12年父につづいて人間国宝に指定される。福井県出身。本名は市郎。

出典 講談社デジタル版 日本人名大辞典+Plusについて 情報 | 凡例

367日誕生日大事典 「岩野市兵衛」の解説

岩野 市兵衛(8代目) (いわの いちべえ)

生年月日:1901年9月14日
昭和時代の手漉和紙製紙家
1976年没

出典 日外アソシエーツ「367日誕生日大事典」367日誕生日大事典について 情報

世界大百科事典(旧版)内の岩野市兵衛の言及

【越前紙】より

…現在では,越前奉書,小間紙,襖紙,局紙,画仙紙,しわ入り檀紙などをすいている。1968年に重要無形文化財〈越前奉書〉の保持者に岩野市兵衛が指定されたが,76年に死亡。また76年には,越前和紙は伝統的工芸品に指定されている。…

※「岩野市兵衛」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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