さがにっき【嵯峨日記】
江戸前期、
松尾芭蕉の日記。一編。宝暦三年(
一七五三)刊。元祿四年(
一六九一)四月一八日から五月四日の間、京都
嵯峨にある
向井去来の別荘
落柿舎(らくししゃ)に滞在中つづった日記で、
芭蕉の日記としては唯一のもの。文学作品としての
構想のもとに、落柿舎での生活、感想、
門人たちとの交渉などを
発句、
連句、
漢詩などをまじえながら記述する。
出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報
出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例
さがにっき【嵯峨日記】
俳諧日記。芭蕉著。1巻。1691年(元禄4)成立。同年4月18日より5月4日まで嵯峨にある向井去来の落柿舎に滞在した際の日記。芭蕉の発句11,門人の発句14,付合2をも収める。交遊と独居の描写が主で,旅の日記文学紀行に対し,庵住生活を描いた日記文学を目ざしたものであろう。主題が,庵住独居の楽しみ,また伝統的隠逸思想へつながる喜びを述べることにあったことは,〈客は半日の閑を得れば,あるじは半日の閑をうしなふ〉〈人来たらず,終日閑を得〉など,木下長嘯子(ちようしようし)のことばの引用からもうかがえる。
出典 株式会社平凡社世界大百科事典 第2版について 情報