工楽松右衛門(読み)くらくまつえもん

精選版 日本国語大辞典 「工楽松右衛門」の意味・読み・例文・類語

くらく‐まつえもん‥まつヱモン【工楽松右衛門】

  1. 江戸後期発明家。播州高砂の船頭出身。天明五年(一七八五)、従来の刺帆(さしほ)に代わる丈夫な織帆(おりほ)創案松右衛門帆と呼ばれ全国的に使用された。また、新田開発や港の防波堤築造、水路造成などの土木事業に独自の考案になる石船砂船轆轤(ろくろ)船、杭打船、底捲船などを使って難工事を容易にしたほか、材木運搬、石材運搬、沈船引揚などに工夫をこらした。文化九年(一八一二)没。

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デジタル版 日本人名大辞典+Plus 「工楽松右衛門」の解説

工楽松右衛門 くらく-まつえもん

1743-1812 江戸時代中期-後期の技術者。
寛保(かんぽう)3年生まれ。漁師,船乗りとしての航海の経験をいかし,天明5年(1785)さし帆にかわる画期的な織帆(おりほ)「松右衛門帆」を発明。港湾河川土木工事,巨材の運搬などにも独自の考案により貢献し,幕府より工楽の姓をあたえられた。文化9年8月死去。70歳。播磨(はりま)(兵庫県)出身。姓は「こうらく」ともよむ。

工楽松右衛門 こうらく-まつえもん

くらく-まつえもん

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朝日日本歴史人物事典 「工楽松右衛門」の解説

工楽松右衛門

没年:文化9.8(1812)
生年:寛保3(1743)
江戸中期の船の技術者。播磨(兵庫県)の人。漁師として生まれ育つ。長じて船頭となる。船の改良に力を尽くし,とりわけ帆布の改善に取り組んだ結果,天明5(1785)年に厚手の木綿の織布を使った独特の帆布を考案し,松右衛門帆と呼ばれた。そのほか港湾の施設の改良などにも功績が大であり,幕府から「工楽」という姓を賜った。

(村上陽一郎)

出典 朝日日本歴史人物事典:(株)朝日新聞出版朝日日本歴史人物事典について 情報

世界大百科事典(旧版)内の工楽松右衛門の言及

【高砂[市]】より

…1773年(安永2)の人口は8097人。港町にふさわしく,江戸初期にはこの町から朱印船貿易の天竺徳兵衛が出,江戸中期には播州産木綿糸をより合わせて織った松右衛門帆の発明者工楽(くらく)松右衛門が出ている。彼は択捉(えとろふ)島築港の功により幕府から〈工楽〉の苗字を与えられたものである。…

※「工楽松右衛門」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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