デジタル大辞泉 「差し渡す」の意味・読み・例文・類語 さし‐わた・す【差し渡す】 [動サ四]1 さおを差して舟を向こう側へ渡す。「新宮の川舟に奉りて―・すほど」〈増鏡・内野の雪〉2 一方から他方へかけわたす。架す。「酒壺に―・したる直柄ひたえのひさごの南風吹けば北になびき」〈更級〉3 向かい合う。さし向かう。「更け行くまで―・し」〈浮・一代男・二〉4 直接に行動する。「―・して弟をつれて」〈浮・胸算用・四〉5 直接に血がつながる。「わぬしが母は渡辺がためには―・した叔母」〈浄・関八州繋馬〉 出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例
精選版 日本国語大辞典 「差し渡す」の意味・読み・例文・類語 さし‐わた・す【差渡】 [ 1 ] 〘 他動詞 サ行五(四) 〙① (棹(さお)さして)船を対岸に行かせる。[初出の実例]「故爾に槁機(さを)を指し渡して、其の御船に引き入れて」(出典:古事記(712)中)② 一方から他方へかけわたす。前へさし出して届かせる。架す。[初出の実例]「わが国に七つ三つつくりすゑたる酒壺に、さしわたしたるひたえのひさごの」(出典:更級日記(1059頃))③ 差し遣わす。派遣する。[初出の実例]「アキナイト シテ saxivatasu(サシワタス)」(出典:ロドリゲス日本大文典(1604‐08))[ 2 ] 〘 自動詞 サ行四段活用 〙① さし向かう。向かいあう。[初出の実例]「其夜は客なき事をさいはい、〈略〉更(ふけ)行迄さしわたし」(出典:浮世草子・好色一代男(1682)二)② 直接に自分でする。[初出の実例]「さしわたして弟をつれて、此たび四条の役者に近付ありて、是をたのみにして芸子に出して」(出典:浮世草子・世間胸算用(1692)四)③ 血のつながりがある。[初出の実例]「瀬戸・南子共は、身かためにはさし渡したるいとこにて候へ共」(出典:小早川家文書‐(年未詳)(室町)一〇月二日・小早川弘景置文写) 出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報 | 凡例