差質(読み)サシジチ

デジタル大辞泉 「差質」の意味・読み・例文・類語

さし‐じち【差(し)質】

中世の不動産質入れの形式の一。質物は、証文には記載されるが債権者に渡さない。→入れ質

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精選版 日本国語大辞典 「差質」の意味・読み・例文・類語

さし‐じち【差質】

  1. 〘 名詞 〙 中世、抵当として書類に記入された質物。近世書入(かきいれ)、現在の抵当契約に当たるもの。入質(いれじち)と異なり、質物は証文面に記載するにとどまり、債権者に渡されなかった。⇔入質
    1. [初出の実例]「此条於差質者、尤然也。至入質者、全不放券」(出典東寺百合文書‐は・暦応四年(1341)八月日・若狭太良荘領家方百姓正吉陳状并具書案)

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「差質」の意味・わかりやすい解説

差質
さじち

無占有質,すなわち今日の抵当に相当する中世法上の用語。見質とも称された。債務者が,目的物を特定するだけであるところからこの名が生じ,債権者が質物を見るだけであるところから,見質の名が生じたといわれている。近世法においては,この系統の質は,一般に書入 (かきいれ) と称せられた。

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世界大百科事典(旧版)内の差質の言及

【質】より

…すなわち,借主が負債を返還するまで貸主が質地からの収益を獲得するものと,貸主が元利相当分の収益を獲得した上で借主に返還するものである。後者はいわゆる抵当で,差質ともいう。質地の占有は契約後も借主がこれを保留する。…

※「差質」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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