市ヶ尾村(読み)いちがおむら

日本歴史地名大系 「市ヶ尾村」の解説

市ヶ尾村
いちがおむら

[現在地名]緑区市ヶ尾町・大場おおば町・荏田えだ町・荏田西えだにし五丁目・下谷本しもやもと

村の大部分の地は谷本川左岸にある。東は荏田村、北は上流大場村・下鉄しもくろがね村、南は下流川和かわわ村と接する。一部が右岸にあり、北は上谷本かみやもと村、西は下谷本村と隣合う。川沿いに平地があるが総じて丘陵がちで、「風土記稿」には鹿谷・てんか谷・谷耕地やこうち・山崎などの小名が記される。北部を矢倉沢やぐらさわ往還が荏田村から入り、谷本川に架かる橋を渡り、下谷本村に抜ける。この道筋について、文化一二年(一八一五)八月二六日の申渡(県史七)によると、幕府天文方の伊能忠敬が測量のための廻村の道順にあてている。川に沿って南北に神奈川宿(現神奈川区)からの道が通る。

永仁(一二九三―九九)頃と推定されている市尾入道宛の武蔵国留守所代沙弥阿聖等連署書状(金沢文庫古文書)府内分倍ふないぶばい(現東京都府中市)堤防の修築に際しての「市尾所課分」を「当郷」が難渋しているとある。正長三年(一四三〇)九月三日付の関東公方足利持氏寄進状(県史三)に「武蔵国都筑郡市尾郷内片山彦次郎跡」が伊豆林際りんさい(現静岡県賀茂郡河津町)に寄進されている。

出典 平凡社「日本歴史地名大系」日本歴史地名大系について 情報

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