市政調査会(読み)しせいちょうさかい

改訂新版 世界大百科事典 「市政調査会」の意味・わかりやすい解説

市政調査会 (しせいちょうさかい)

都市の政治行政について調査研究を行う機関。19世紀末から20世紀初めにかけて,アメリカにおいて展開された市政改革運動の一つの所産として,各都市に民間市政調査機関が設けられ,それ以後の市政改革に大きく貢献した。1906年設立されたニューヨークの市政調査会Bureau of Municipal Research(のちの行政研究所)は,その代表例である。日本では,ニューヨーク市政調査会の所長をつとめていたビアードを招いて,22年に東京市長後藤新平が東京市政調査会を設立した。広範な市政改革運動を背景として生み出されたアメリカの場合とは設立経緯を異にするが,今日に至るまで月刊誌《都市問題》の刊行とともに,専任研究員による地道な調査研究活動を継続している。戦後1951年,大阪市にも,民間の機関ではないが,市庁内に大阪市政研究所が設立され,同じく月刊誌《都市問題研究》を刊行している。その他,日本都市センター研究部や日本地域開発センターなどをはじめとして,都市や地域の問題を対象とした多くの調査研究機関が,それぞれ活動を行っている。
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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「市政調査会」の意味・わかりやすい解説

市政調査会
しせいちょうさかい
Municipal Research Bureau

市政の公正,経費の節約能率の向上を目的に都市行政の調査,研究を行なったアメリカの組織。 19世紀末のアメリカでは,政党機構 (マシーン) による市政支配が一般化し,市政の腐敗が顕著となった。このような状況下において,中産階層を主体とした市政改革運動が起きた。市政調査会は,この改革運動の所産である。この市政調査会の研究業績は,今日のアメリカ行政学の一源流を成すものでもある。日本でもこれにならい,東京市政の科学化と調査研究を進める目的で,1922年に後藤新平によって財団法人東京市政調査会が設立され,今日に及んでいる。

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世界大百科事典(旧版)内の市政調査会の言及

【都市行政】より

…市政府職員の情実任用と汚職を排するために,近代的な公務員制度や財務会計制度の形成を促したばかりか,市政府形態として新たに市支配人制や委員会制の導入に結びついた。また能率的な都市行政のための調査機関として〈市政調査会〉を各都市に誕生させた。これらは現代アメリカ行政学の基礎ともなっている。…

※「市政調査会」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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