市杵姫神社(読み)いちきひめじんじや

日本歴史地名大系 「市杵姫神社」の解説

市杵姫神社
いちきひめじんじや

[現在地名]水戸市本町一丁目

うら一町目の中間備前びぜん堀の北側にあり、市神さまとよばれる。祭神は市杵島姫命。創立年不詳。社伝によると大和国高市たかいちから神霊を分祀し、初めは太田おおた(現常陸太田市)にあって奥七郡の祭事を支配したという。佐竹氏の水戸入城後水戸へ移り、さらに寛永初年この地に移った。

新編常陸国誌」に「毎年正月八日、九日祭事アリ、隔一年、本三町目青物町ニ仮殿ヲ造リ出輿セシヲ、今ハ本三町目ノミトナレリ、十日ハ上町、上下金町ニテ隔年之ヲ祭リ、十二日ハ太田ニテ祭ルト云フ」とある。また「水府寺社便覧」は「是ハ帝姫神と称し天照大神宮を奉祭共いへり代々申太夫と称し世にいふ舞太夫の類属也竈神の画を出す此画影西の宮の社人謂所夷の出ス処と異也(中略)申太夫の出ス画影は京師の稲荷御影と似たり四季を表したりとかや申太夫も旧き家なる由(中略)又先年ハ此神に参詣する輩是非神前より水飴を買ふて家土産となしき近年此事止ミけり此日仮殿の前後にて恵比寿大黒の類ひ野老且山椒皮麻苧張面紙等を商ふ諸人是を求めて携へ帰る此日を初市と称す(中略)毎年参州より来る万歳初めに此申太夫を訪ひ其後諸方へ分散すると云」と記す。

出典 平凡社「日本歴史地名大系」日本歴史地名大系について 情報

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