朝日日本歴史人物事典 「布袋屋玄了尼」の解説
布袋屋玄了尼
永正13(1516)年前後に,洛中の扇商売の半分の営業独占権を持っていた扇商人。京扇は名産であるとともに貿易輸出工芸品であり,京都特産品として重要。幕府侍所多賀高忠より権利保証の証文をもらうなど,貿易と結びついた商売をうかがわせる。四条富小路に本店を構え,3人の折り手を抱え,玄了尼自身も折っており,製造と販売が未分離な扇商売の実態がわかる。正親町高倉北頬にも支店を持っており,養子のはんかい次郎という者の娘に譲っている。<参考文献>脇田晴子『日本中世女性史の研究』,「商業と町座」(『京都の歴史』3巻)
(脇田晴子)
出典 朝日日本歴史人物事典:(株)朝日新聞出版朝日日本歴史人物事典について 情報