朝日日本歴史人物事典 「平尾魯仙」の解説
平尾魯仙
生年:文化5.3.3(1808.3.29)
幕末明治期の画家。通称は初三郎,名は亮致,別号に宏斎,雄山,芦川(俳号)などがある。陸奥弘前(青森県)の魚商の家に生まれ,画を工藤五鳳,毛内雲林,今村渓寿に,俳諧を内海草坡に,国学を平田銕胤に学ぶ。郷土の風物に題材を得た絵画作品にすぐれたものが多い。極貧のため炭が買えず,手を冷水に浸して熱の発するを待ち,ようやく筆を持って練習に励んだという。尊皇思想家あるいは俳人としても知られる。寺子屋を経営し,多くの門人を育て,この地の文化に多大の影響を与えた。著書に『幽府新論』『鬼神論』,句集に『笠の蝶』などがある。弘前市新寺町の貞昌寺に葬られた。<参考文献>中村良之進『平尾魯仙翁』,『弘前市史 明治・大正・昭和編』
(河野元昭)
出典 朝日日本歴史人物事典:(株)朝日新聞出版朝日日本歴史人物事典について 情報