平水韻(読み)ヘイスイイン(その他表記)Píng shuǐ yùn

デジタル大辞泉 「平水韻」の意味・読み・例文・類語

へいすい‐いん〔‐ヰン〕【平水韻】

中国韻書。13世紀前半に平水山西省)の人劉淵りゅうえんが編したという。宋代の韻書「広韻」などが206韻に分類していたのに対し、発音変化に合わせて107韻に編み分けた。元代には106韻となり、現在の詩の韻の基準となっている。詩韻。ひょうすいいん。

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精選版 日本国語大辞典 「平水韻」の意味・読み・例文・類語

へいすい‐いん‥ヰン【平水韻】

  1. 〘 名詞 〙 中国で明・清以降、作詩の基準として用いられた韻分類の呼称従来の「広韻」の二〇六の韻目類別が細かすぎるため、次第に同用されるようになっていたのを、宋の淳祐一二年(一二五二)、江北平水(山西省臨汾市)の人劉淵がまとめて一〇七韻としたもの。のち元代にさらに修正されて一〇六となった。

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改訂新版 世界大百科事典 「平水韻」の意味・わかりやすい解説

平水韻 (へいすいいん)
Píng shuǐ yùn

中国語の106韻の〈詩韻〉。平水(山西省の地名)で刊行された韻書の体系を祖とするので,このように称する。中古期の切韻系の韻書がしだいに増広されてくると,詩文制作の用には煩雑で不便なものとなった。宋代の《礼部韻略》は応試作文の用に供せられた官韻書で,〈礼部〉の名を冠する。その構成は,表面上206韻であるが,同用によって押韻の枠をゆるやかにし,実質上108韻で,〈詩韻〉の原型を示す。収録字数も少なく,《集韻》に対して詳略の関係にある。金代の官韻書,王文郁《平水新刊韻略》(1229)は,《礼部韻略》の同用の枠に従って韻を併合し,さらに同用によって上声・去声で各1韻を減じ,上平声15韻,下平声15韻,上声29韻,去声30韻,入声17韻の計106韻とした。すでにこの書と107韻の劉淵《壬子新刊礼部韻略》(平水刊。1252)との祖に当たるものがあったと思われる。清代の《佩文(はいぶん韻府》に対する簡略韻書《佩文詩韻》は,応試作文に必須の官韻書として最もよく用いられた。
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