平沢寺(読み)へいたくじ

日本歴史地名大系 「平沢寺」の解説

平沢寺
へいたくじ

[現在地名]静岡市平沢

有度山うどさん丘陵山間、北流する吉田よしだ川源流部の東岸に位置する真言宗智山派寺院。山号は布袋山、院号は自在院、本尊は行基作と伝える千手観音。天文五年(一五三六)一〇月二五日、今川義元は「入江庄内平沢寺」に前々のごとく観音仏供田などの寺領を安堵した(「今川義元判物」平沢寺文書)。弘治二年(一五五六)一〇月二四日には義元は鳥坂とりさか(現清水市)内の観音仏供田などの諸役を免除するとともに、今川氏の分国中での勧進を許可して観音堂造営を命じている(「今川義元判物」同文書)。伝行基作の観音安置の由緒が尊重され、観音堂の腐朽を心配しての措置であろう。元亀二年(一五七一)二月二六日には武田信玄が永禄一三年(一五七〇)二月二二日の安堵を受け、再び平沢寺妙楽坊に寺領を安堵するとともに、浅井刑部左衛門尉をはじめとする地頭らの寺領侵犯を禁じた(「武田信玄判物」同文書)

出典 平凡社「日本歴史地名大系」日本歴史地名大系について 情報

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