基準人口(基準となる集団の年齢構成)を用いて集団の年齢構成のゆがみを補正した死亡率のこと。
死亡の状況は年齢によって異なり、全年齢の死亡数と全人口の比である「死亡率」は人口の年齢構成に大きく影響を受ける。よって地域や国際比較、経年的な死亡率の推移を把握する際には、年齢構成の変化の影響を取り除いて算出する必要がある。
年齢調整死亡率は、基準人口に何を用いるかによって値が変動する。日本国内の比較では、通例「昭和60年モデル人口」(1985年(昭和60)の日本人人口を一定の方法で補正してつくられた仮想人口モデル)が用いられ、世界各国との比較では「世界人口」が用いられる。
[渡邊清高 2018年1月19日]
1981年以降、日本人の死因第1位は悪性新生物(がん)となっているが、日本におけるがんの年齢調整死亡率の年次推移をみると、全部位のがんでは男性は1980年代まで緩やかに上昇したのち、1990年代なかばから低下傾向にあり、女性では1960年代後半から緩やかな低下傾向を示している。部位別にみると、男女とも胃については1960年以降一貫して低下しており、肝臓は1990年代なかば以降、それまでの上昇から一転して低下傾向を示している。大腸は1990年(平成2)以降、上昇傾向から横ばいあるいは緩やかな低下傾向にある。女性のがんでは子宮は低下傾向を示していたが、2010年(平成22)前後から横ばいで推移している。乳房は一貫した上昇傾向を示していたが、2010年前後で上昇が収束している。
[渡邊清高 2018年1月19日]
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