日本大百科全書(ニッポニカ) 「底心格子」の意味・わかりやすい解説
底心格子
ていしんこうし
base-centered lattice
結晶構造の表現のために、空間格子をブラベ格子に従って分類する型の一つ。単位格子となる平行六面体の相対する一組の面の中心にも、頂点と同価の格子点が含まれる格子。格子点のある面がab面ならC、bc面ならA、ca面ならBの記号が与えられる。これらを一般化して側面心格子side-face-centered lattice 記号Sとすることもある。一つの単純格子と、それが格子点のある面を規定した軸について1/2周期ずつずれたもう一つの単純格子Pとが組み合わされた複合格子で、格子の多重度は2となる。
単斜晶系と斜方(直方)晶系に底心格子がある。三斜晶系の底心格子は体積1/2の単純格子に帰結され、等軸(立方)、三方、六方の各晶系では、対称性のうえから底心格子はありえない。正方晶系のC底心格子は体積1/2の単純格子に変換され、A(B)底心格子は対称性のうえでありえない。
[岩本振武 2015年8月19日]