日本大百科全書(ニッポニカ) 「『座頭市』シリーズ」の意味・わかりやすい解説
『座頭市』シリーズ
ざとういちしりーず
日本映画。1962年(昭和37)~1989年まで、26作に及ぶ勝新太郎主演の時代劇シリーズで、製作大映、原作子母澤寛(しもざわかん)(1892―1968)『ふところ手帖』の一編「座頭市物語」、脚色犬塚稔(いぬづかみのる)(1901―2007)、監督三隅研次(みすみけんじ)(1921―1975)による第1作『座頭市物語』は、互いに対立する組に草鞋(わらじ)を脱いだ座頭市(勝新太郎)と平手造酒(天知茂(あまちしげる)、1931―1985)の友情を中心に、組の闘いに駆り出され死闘を演じるさまを白黒で描き出した傑作。盲目の僧侶で壺振りでも居合抜きでも超人的な能力をもった、凶状持ちの侠客(きょうかく)を主人公にした物語は、たちまち大人気となり、以後、大映の看板番組となる。1970年に三船敏郎(みふねとしろう)と若尾文子(わかおあやこ)(1933― )といったスターを招いて岡本喜八(おかもときはち)監督が『座頭市と用心棒』を撮り、シリーズ最大のヒットとなる。大映倒産後は、東宝で『座頭市御用旅』(監督森一生(もりかずお)1911―1989、1972年)以降3本が製作され、『新座頭市物語 折れた杖』(1972)では、勝自ら監督・主演を務めた。1989年、勝は最後の『座頭市』でも監督・主演し、テレビ版でも製作・主演をしている。
[坂尻昌平]