用心棒(読み)ヨウジンボウ

デジタル大辞泉 「用心棒」の意味・読み・例文・類語

ようじん‐ぼう【用心棒】

護衛のために身辺につけておく者。「用心棒を雇う」
閉めた戸を内側から押さえておく棒。しんばりぼう。
万一のときに身を守るために、手もとに用意しておく棒。
[類語]ボディーガードSP護衛ガードマン

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精選版 日本国語大辞典 「用心棒」の意味・読み・例文・類語

ようじん‐ぼう【用心棒】

  1. 〘 名詞 〙
  2. 万一の場合、身を守るために備えておく棒。
  3. 締めた戸を中から押えるための棒。しんばりぼう。
    1. [初出の実例]「用心棒(ヨウジンボウ)を打ち振り打ちふり、現はれ出でたる両個小僕」(出典人情本・貞操婦女八賢誌(1834‐48頃)三)
  4. 護衛のために雇っておく従者。特に、博徒などが、警戒のためにかかえておく武芸者。また、店などで、客の乱暴に備えて置かれる見張りの者。
    1. [初出の実例]「世の中は・用心棒は反り次第」(出典:雑俳・筑丈評万句合(1746‐48))
    2. 「映画館の用心棒をしているんだが」(出典:死霊‐三章(1946‐48)〈埴谷雄高〉)

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改訂新版 世界大百科事典 「用心棒」の意味・わかりやすい解説

用心棒 (ようじんぼう)

1961年製作の日本映画黒沢明監督,東宝/黒沢プロダクション作品。汚職を社会悪としてとり上げた《悪い奴ほどよく眠る》(1960)につづく黒沢プロダクション(1959設立)の第2回作品で,脚本菊島隆三と黒沢の合作三船敏郎演ずる浪人がある小さな宿場へやってきて,なわばり争いをしている二つの暴力組織を手玉にとって闘わせ,結果的に両方を退治して飄然(ひようぜん)と去っていくという筋書のこの映画は,黒沢みずからが語るとおり,ドラマとして分析すれば穴だらけで,徹底的に映画的な楽しさだけを追求した,〈ある意味では喜劇〉であるといえる。そして,《羅生門》(1950)の撮影を担当した,宮川一夫(1908-99)の黒沢のイメージを的確に映像化した望遠レンズ駆使などによる優れたカメラワークや,佐藤勝の斬新な音楽などによって,類型を脱した魅力ある時代劇映画となり,空前の大ヒットを記録した。

 日本では黒沢の〈商業主義的娯楽映画〉という評価が一般的であったが,日本の時代劇映画がそのエキゾティシズムで〈人気〉を得ていたアメリカで公開されると,《タイム》誌は〈日本の黙示録〉という見出しをかかげて,黒沢が描いた19世紀日本の小さな宿場は現代文明を縮写した小宇宙であると論評し,また《ショー》誌は黒沢が初めてアメリカ全土の市場に売れる映画をつくったと評した。また,イタリアでは《用心棒》を模してセルジオ・レオーネ監督が《荒野の用心棒》(1964)をつくり,いわゆる〈マカロニ・ウェスタン〉流行のきっかけとなった。
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デジタル大辞泉プラス 「用心棒」の解説

用心棒

1961年公開の日本映画。英題《Yojimbo》。監督・脚本:黒澤明、脚本:菊島隆三。出演:三船敏郎、東野英治郎、河津清三郎、山田五十鈴、太刀川寛、清水元、天本英世ほか。第12回ブルーリボン賞主演男優賞・ヴェネツィア国際映画祭男優賞(三船敏郎)受賞。

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