弥生時代人(読み)やよいじだいじん

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「弥生時代人」の意味・わかりやすい解説

弥生時代人
やよいじだいじん

日本の縄文時代に続く弥生時代の人々。その人骨は,顔が幅広くて隆起に富み,身長が比較的低いという縄文時代人の特徴を強く残している在来型と,顔が面長で,みけんや鼻骨の隆起が弱く,身長が縄文人よりも高い,いわゆる渡来系とに区別される。前者は全国各地の海岸部や山間部の遺跡で発見されるが,比較的少数であるのに対して,後者は西日本,特に北部九州と山口県の平野部の遺跡を中心に多数発見されている。山口県の土井ヶ浜,佐賀県の三津,福岡県の金隈などの遺跡で出土した人骨で代表される渡来系弥生人は,大陸から稲作と金属器の文化を日本列島にもたらし,縄文文化系の人々に強い遺伝的・文化的影響を及ぼしながら,次第にその分布域を東に拡大して,今日の日本人の原型を形成するようになったものと考えられている。

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山川 日本史小辞典 改訂新版 「弥生時代人」の解説

弥生時代人
やよいじだいじん

弥生時代の日本列島には,縄文時代以来の土着の人々と大陸から渡来した人々が混在していたことが知られる。かつては在来系の人々が弥生時代人の主体であったと考えられていたが,近年になって佐賀県・福岡県・山口県などの弥生時代遺跡で,身長が高く,顔が面長で,鼻根が平坦であるなど,縄文時代人とはかけはなれた特徴をもつ人骨が多数発見され,西日本の一部では渡来系集団が優勢であったことが明らかになってきた。この集団の遺伝的影響が,稲作文化東漸とともに,やがては東日本にまで及び,その結果,在来集団を大きく変化させて現代日本人の原型を形成するに至ったと考えられている。

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