硬直(読み)こうちょく

日本大百科全書(ニッポニカ)「硬直」の解説

硬直
こうちょく

一般には、身体や筋肉収縮したままくこわばって自由に動かなくなった状態をいうが、医学的には死後硬直、去脳硬直などの場合に用いられる。死後硬直は死剛(しごう)ともよばれ、死斑(しはん)、死冷などとともに死後変化の一つとしてあげられている。死後、弛緩(しかん)した筋肉は、その後の化学的変化によって頭頸(とうけい)部の筋肉から順次に下半身にかけて硬直をおこし、さらに時間が経過するとふたたび弛緩するが、これを「死後硬直が寛解した」と称する。通常、この硬直状態と死後の時間的推移との一致が実証されているため、法医学的に死亡時間の判定に利用されている。しかし、外気の温度などの死亡時の状況、あるいは個体の状態、または死因など種々の条件によって左右されるために、判定が困難な場合も少なくない。また、去脳(除脳)硬直とはシェリントンが1898年に発見したもので、イヌ、ネコなどの脳幹部を切断すると、頭やしっぽを反らし、四肢を伸ばした状態、つまり筋肉が緊張硬直した状態になることを意味している。これは、体の平衡や姿勢保持の機能を有する脳幹部は、大脳皮質などの上位脳から抑制を受けていることを実験的に確かめたものとして知られる。

[渡辺 裕]

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精選版 日本国語大辞典「硬直」の解説

こう‐ちょく カウ‥【硬直】

〘名〙
① (形動) かたくてまっすぐなこと。また、そのさま。
※土(1910)〈長塚節〉六「雑木林の間には又の硬直な葉が空を刺さうとして立つ」
② (━する) 体がこわばって自由に動かなくなること。医学的には、筋肉、とくに骨格筋が持続的に硬化した状態。死後硬直はその典型で、再び弛緩しないので収縮と区別される。強直
※彼岸過迄(1912)〈夏目漱石停留所「一旦硬直(カウチョク)になった筋肉のに、又温たかいが通ひ始めて」
③ (形動) 正直で誠実なこと。
※あたらよ(1899)〈内田魯庵〉「厳格硬直(カウチョク)で諛ふを好まず」
④ 態度・方針などが固定化して柔軟性がなくなること。

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デジタル大辞泉「硬直」の解説

こう‐ちょく〔カウ‐〕【硬直】

[名・形動](スル)
かたくぴんと張っていること。こわばっていること。また、そのさま。「硬直した考え方」
「芒の―な葉が空を刺そうとして立つ」〈長塚
筋肉が持続的に収縮し、かたくなること。また、その状態。「首筋が硬直する」「死後硬直
正直で誠実なこと。また、そのさま。
「その男が―な士であるように思われて」〈菊池寛・忠直卿行状記〉
[類語]堅いこわ硬質堅硬生硬かちかちがちがちかちんかちんこちこちハードかたさ硬化剛性ごつい厳つい

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