当流(読み)トウリュウ

デジタル大辞泉 「当流」の意味・読み・例文・類語

とう‐りゅう〔タウリウ〕【当流】

この流派。この流儀
今はやっている流儀。当世風
「―の大尽と見えて友だち多くつれだち」〈咄・露がはなし・四〉

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精選版 日本国語大辞典 「当流」の意味・読み・例文・類語

とう‐りゅうタウリウ【当流】

  1. 〘 名詞 〙
  2. 自分の属している、または、今話題にしている、この流派、流儀。
    1. [初出の実例]「金丁員数事、初三打事、当流継園御法則也」(出典:左記(1180か))
    2. 「定輔卿の琵琶は楽説、其外の手・撥合まで、みな当流にて候しを」(出典:古今著聞集(1254)一五)
  3. 今の世にもっぱら行なわれるやり方、考え方。当代流行の流儀。現代風。当世風。当風。〔運歩色葉(1548)〕
    1. [初出の実例]「楊子さへ当りうは皆ほそい也」(出典:雑俳・大黒柱(1713))

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「当流」の意味・わかりやすい解説

当流
とうりゅう

近世剣術の一流派。流祖は山本三夢(さんむ)入道玄常(はるつね)、山本流ともいう。三夢は上州館林(たてばやし)の人と伝え、初め同国小幡(おばた)の前原備前守(まえはらびぜんのかみ)が伝えた京(きょう)流を修め、その後、吉岡無二斎(むにさい)に自見(じけん)流を、村田左馬之助(さまのすけ)に新陰柳生(しんかげやぎゅう)流を、三輪源兵衛に林崎(はやしざき)流居合を学び、これらの刀法諸流をあわせて一流を創案し、延宝(えんぽう)年中(1673~1681)鎌倉の鶴岡八幡宮(つるがおかはちまんぐう)に祈念して、心明剣の一刀を開悟し、当流を称したという。門人に朝比奈夢道(あさひなむどう)、明石(あかし)三郎兵衛ら、子に山本源助自見斎(げんすけじけんさい)がある。自見斎は関口流居合および手裏剣(しゅりけん)の名手であった。明石の門人浜島金太夫正澄(はまじまきんだゆうまさずみ)は江戸で活躍し、門下に塩(しお)藤右衛門、能勢(のせ)左仲、笹河是閑(ささがわぜかん)らを輩出した。塩の高弟上田一候斎(うえだいっこうさい)の門流には、1791年(寛政3)三義明致(さんぎめいち)流を始めた川澄(かわすみ)新五郎忠智(ただとも)、また野州(栃木県)鹿沼(かぬま)地方に門流を広げた笹河の門流には、心明当(しんめいとう)流を唱え幕末期に活躍した福田誠好斎(せいこうさい)宗節(そうせつ)(1812―1899)らが出た。四国の伊予大洲(おおず)藩、小野十得斎月心(じっとくさいげっしん)も有名であった。

[渡邉一郎]

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世界大百科事典(旧版)内の当流の言及

【屋嘉比朝寄】より

…三線は名人照喜名聞覚(てるきなもんかく)を師としたが,失明して三線に専念。謡曲の技法などを取り込んで,旧節に替わる当流(とうりゆう)と称する楽統を創始した。また中国に範をとった琉球初めての三線楽譜〈工工四(くんくんしい)〉を考案するなど,琉球音楽の保存とその近代化に貢献した。…

※「当流」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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