御留川(読み)おとめかわ

精選版 日本国語大辞典 「御留川」の意味・読み・例文・類語

おとめ‐かわ‥かは【御留川】

  1. 〘 名詞 〙 河川湖沼など内水面での領主御用の漁場で、漁師の立ち入りが禁止されていたところ。
    1. [初出の実例]「紫を人の奪はぬ御留川」(出典:雑俳・柳多留‐六〇(1812))

御留川の補助注記

江戸時代、江戸川筋の隆慶橋から中の橋までがこれで、将軍家御料の鯉を飼育していた。

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改訂新版 世界大百科事典 「御留川」の意味・わかりやすい解説

御留川 (おとめがわ)

河川,湖などの内水面における領主専用の漁場。漁民の自由な立入りは禁止された。例えば,霞ヶ浦南東部には江戸初期,幕府の箕和田御留川が設定され,さらに1625年(寛永2)下玉里村の土豪鈴木氏の申請により,〈湖は入会〉の原則を固守する霞ヶ浦四十八津の抵抗を押し切って,水戸藩は湖の北部高浜入を玉里御留川としている。鈴木氏は御川守となり,当初は直営大網を引いたが,83年(天和3)以降,江戸の問屋,霞ヶ浦周辺の漁民の請負となり,入札によって運上人を定め,運上金を上納させた。1722年(享保7)から翌年にかけて,大徳網などの漁具を規制する〈御留川定法〉が定められたが,不漁がつづき,玉里御留川は衰亡に向かう。このほかに江戸川筋の隆慶橋から中の橋までは,将軍家御料の鯉をとる御留川とされていた。
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百科事典マイペディア 「御留川」の意味・わかりやすい解説

御留川【おとめがわ】

領主に囲い込まれた河川・湖沼など内水面における漁場で,漁民の自由な立入りは禁じられた。領主直営の大網を引くこともあったが,周辺漁民に請け負わせ,運上金を上納させることが多かった。江戸初期には霞ヶ浦南東部に幕府の箕和田御留川が設定されており,また江戸川筋の隆慶橋から中の橋までの間は将軍家御料の鯉をとる御留川とされていた。

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