精選版 日本国語大辞典 「大網」の意味・読み・例文・類語
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大型の漁網または大がかりな網漁をいう。室町時代から江戸時代にかけ,漁業生産が著しく増大し,諸国の特産物として漁獲物が産地化された理由の一つは,各地で大網が考案された結果による。元和(1615-24)のころ,肥前,長門を中心にブリ,マグロの大敷網(台網)が考案され,やがてそれが越中,能登方面へ伝えられた。また,陸前,陸中方面では江戸時代初期からサケ,マグロの大網(台網)による漁業の発達をみたほか,陸奥ではタラの建網,北海道ではニシン建網,サケの大謀網などがおこなわれた。これら,大型網漁にかかわる技術は,後の大型定置網漁を育てる基盤となった。そのほか,引網では九十九里浜のイワシ大地引網,巻網では塩飽諸島のタイ巻網,土佐のマグロ巻網,カツオ大網,それに紀州で網取式捕鯨に用いた漁網等はいずれも大仕掛けなものであった。材質は稲藁や苧麻(ちよま)が主であったが,明治時代に綿紡績業が発達すると,木綿材の網が普及し,より大型化された。
→網漁業
執筆者:田辺 悟
大網膜ともいい,胃の前下縁から下方に腹腔内にたれている広い膜で,前垂れのように小腸の集まりを前方からおおい,前腹壁のすぐ後ろにある。もともと前後に重なりあった4枚の腹膜が互いに癒着してできたもので,発生学的には胃の腸間膜すなわち胃間膜の後部がはなはだ変形して生じたものである。子どものときは上述の癒着が十分に起こらず,したがって前後の2葉に分かれて,その間の腔所は胃の後方にある網囊の下方へのつづきをなしている。前葉は胃の大彎(だいわん)からつづき,後葉は横行結腸に付着している。大網は腹膜のひだであるから,その表面は単層の扁平上皮でおおわれ,ごく滑らかである。そして数多くの血管が分布し,脂肪組織に富んでいる。その作用は腹腔内の液を吸収するほかに,腸のうねりと腹壁との間のすきまを満たす詰物として役だっているらしい。
執筆者:小川 鼎三
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…胃も腸間膜をもっていて,これは〈胃間膜〉と呼ばれ,これに前腹壁と結合する前胃間膜と,後腹壁と結合する後胃間膜とが区別できる。前後の胃間膜ともかなり複雑な形を呈していて,胃の後方に〈網囊〉と呼ばれる腹膜でかこまれたへやをつくっており,そこから後胃間膜の一部が下方に長くのびて〈大網〉をなしている。大網は発生学的に腹膜が4枚重なり合って生じたものである。…
※「大網」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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