御辺(読み)ゴヘン

デジタル大辞泉 「御辺」の意味・読み・例文・類語

ご‐へん【御辺】

[代]二人称人代名詞。対等またはやや目上相手に対して武士などが用いた。そなた。貴公貴殿
「―は故刑部卿忠盛の子でおはせしかども」〈平家・二〉

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

精選版 日本国語大辞典 「御辺」の意味・読み・例文・類語

ご‐へん【御辺】

  1. [ 1 ] 〘 名詞 〙 帝や主君など、高貴の人のおそば。
    1. [初出の実例]「すぐに君の左右御辺近くまいる」(出典:人天眼目抄(1471‐73))
  2. [ 2 ] 〘 代名詞詞 〙 対称同輩またはやや目上に対して用いる。貴殿。御分(ごぶん)。後に、江戸前期上方語では、文語文脈で武士や僧侶によって男性語として、対等もしくは対等以下のものに対しても用いられるようになった。
    1. [初出の実例]「雖然御辺之事。争可疎略乎」(出典明衡往来(11C中か)中本)
    2. 「御辺は東八ケ国をうちしたがへて、東海道より攻めのぼり」(出典:平家物語(13C前)七)

おん‐あたり【御辺】

  1. 〘 代名詞詞 〙 ( 「ごへん(御辺)」の訓読か ) 対称。上位者に対していう。
    1. [初出の実例]「御あたりの御事共うけ給はらまほしう候つるに」(出典:平家物語(13C前)一二)

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