御魂祭り(読み)みたままつり

日本大百科全書(ニッポニカ) 「御魂祭り」の意味・わかりやすい解説

御魂祭り
みたままつり

年末年始や盆に先祖の霊を祭る行事。盆と正月とは、ともに先祖祭りの機会であったと思われるが、正月は「めでたい祭り」という点を強調するあまり、仏教臭や死者に関する儀礼を排除した。そのため公式行事に御魂祭りの要素が希薄となり、わずかに地方的な年中行事のなかにそのおもかげをとどめる。東北地方から中部地方にかけて、年末または年始に「御魂の飯」「見玉(みたま)の飯」といって、山盛りの飯か握り飯に箸(はし)を突き立て、箕(み)の上に並べたりする行事がある。団子や粢(しとぎ)を用いることもあり、一升枡(ます)に入れた飯に箸を立てる例もある。供える場所は、仏壇、年神棚(としがみだな)、座敷縁側などで、新仏のあった家だけが行う例もある。

 盆も御魂祭りの機会であるが、死者や先祖ばかりでなく、生見玉(いきみたま)といって生きている親に食物を供することがある。他家に嫁いだ娘やよそに出た息子などが、刺鯖(さしさば)やトビウオなどを持参して親に供する。

[井之口章次]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

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