霊祭(読み)タママツリ

デジタル大辞泉 「霊祭」の意味・読み・例文・類語

たま‐まつり【霊祭(り)/魂祭(り)】

陰暦7月の盆を中心にして、祖霊を迎えて祭りをすること。精霊しょうりょう祭り。盂蘭盆会うらぼんえ 秋》「夜かよふ蝶あはれなり―/闌更
[類語]盂蘭盆精霊会新盆旧盆

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精選版 日本国語大辞典 「霊祭」の意味・読み・例文・類語

たま‐まつり【魂祭・霊祭】

  1. 〘 名詞 〙 先祖の霊を招きまつるまつり。今日では、一般には盂蘭盆(うらぼん)に行なわれる。精霊(しょうりょうえ)。《 季語・秋 》
    1. [初出の実例]「盂蘭盆の哥。後の世にまよふ諸人こよひこそいてし都の月を見る覧。又歳暮にも、玉まつるとよあり。玉祭の事、一年中に十六度あり」(出典:兼載雑談(1510頃))
    2. 「あちきなや蚊屋の裙(すそ)(ふむ)魂祭」(出典:俳諧・蕪村句集(1784)秋)

魂祭りの語誌

( 1 )平安時代には、一二月の晦の日に行なわれていたことが「後撰‐哀傷」の「妻にまかりおくれて侍りける師走のつごもりの日ふること言ひ侍りけるに 亡き人のともにしかへる年ならは暮れ行く今日は嬉しからまし〈藤原兼輔〉」などからわかる。
( 2 )鎌倉時代には、「徒然草‐一九」に「なき人のくる夜とて玉まつるわざは、この比都にはなきを、東のかたには、なほする事にてありしこそ、あはれなりしか」とあるところから、一二月の魂祭は、もはや都では行なわれなかったようである。
( 3 )やがて、魂祭は仏教の盂蘭盆会と習合し、民間の諸行事(招魂・農耕儀礼)とも結びついて、もっぱら盆に行なわれるようになった。

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百科事典マイペディア 「霊祭」の意味・わかりやすい解説

魂祭【たままつり】

御魂祭とも。祖霊祭のこと。今日では精霊(しょうりょう)をまつる異名だが,《徒然草》には年末の魂祭の例が見え,今も先祖正月といって正月に祖霊をまつる所もある。古くは死霊と生者の霊魂観念が交錯し,正月や盆はその霊魂の祭であった。彼岸の行事も仏教の原義に祖霊祭の観念が混じっている。
→関連項目夏祭祭り

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世界大百科事典(旧版)内の霊祭の言及

【盂蘭盆会】より

…陰暦7月15日を中心に行われる祖霊供養の法会。盂蘭盆供会,盂蘭盆祭ともいい,略して盂蘭盆と称し,広く魂祭(たままつり),精霊会(しようりようえ),お盆などといわれる。 盂蘭盆はサンスクリットavalambanaの転訛したullambanaの音写とされ,倒懸(さかさづり)の意で,《盂蘭盆経》によると,目連が餓鬼道に落ちた母の倒懸の苦しみを救おうとして,釈迦の教えに従って祭儀を設けて三宝に供養したことが起源であると説かれてきた。…

※「霊祭」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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