精選版 日本国語大辞典 「紺屋」の意味・読み・例文・類語
こん‐や【紺屋】
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〈こんや〉ともいう。現在では染物一般を行う染物屋をさすが,本来は紺搔(こんかき)屋の略された語といわれ,紺染(藍染)を専業とする者の称であった。紺搔の名は,藍瓶に溶かした藍が底に沈殿しないように搔きまわして染めたことに由来する。職人としての紺搔の誕生は中世初期にさかのぼるが,近世になって紅師,紫師,あるいは茶染師といった職人もあらわれた。こうした紺搔以外の染物職人は中世末期には染殿(そめどの)と呼ばれていたが,やがて染物業者のすべてを紺屋とも呼ぶようになった。染料は植物性のもので,原料植物によってその処理や染色のしかたにちがいがあったため,職人の分化が起こったものと思われる。紅師は紅花(べにばな),紫師は紫草(むらさき),茶染師は黄櫨(はぜ)や檳榔子(びんろうじ),紺屋は初めは山藍,のちには蓼藍(たであい)を使った。中世の紺搔は山藍の栽培から染色までのすべての工程を一貫して行っていたが,近世には蓼藍の葉から染料としての蒅(すくも),あるいは藍玉を生産する藍師(藍屋)ができ,紺屋はそこから藍玉を仕入れて染色を行うようになった。都市では業者が集住して紺屋町を形成したところが多く,村落にも紺屋の定住が多く見られた。労働は伝統的に女性中心に行われ,中世から近世初期の風俗画にそのようすが描かれている。
→アイ(藍) →紺
執筆者:遠藤 元男
→紺屋(こうや)
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「こんや」とも。紺掻(こんかき)とも。藍で布を染める職人。室町時代以降に専門職に分化した。木綿が普及する江戸時代以降,衣料を自家調達してきた農家も染めまではできないため,村々にも紺屋が成立した。藍の栽培から一貫して行ったが,近世には染料を作る藍建て,藍染だけになった。近代には藍以外の染色や洗い張りも行い,染物屋と同義となる。甕場(かめば)へは女性をいれない風習があったが,江戸時代には女性が盛んに藍染を行った。
出典 山川出版社「山川 日本史小辞典 改訂新版」山川 日本史小辞典 改訂新版について 情報
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