心法(読み)シンポウ

デジタル大辞泉 「心法」の意味・読み・例文・類語

しん‐ぽう【心法】

《「しんぼう」とも》
(‐ポフ) 仏語
㋐一切のものをしんしきとに分けたときの心。心の働きの総称心王。⇔色法
㋑心のあり方。
(‐パフ)
㋐心を修練する法。精神の修養法。
㋑もうけ。
「一代十万貫目の―なり」〈浮・立身大福帳・一〉

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精選版 日本国語大辞典 「心法」の意味・読み・例文・類語

しん‐ぼう【心法】

  1. 〘 名詞 〙 ( 「しんぽう」とも )
  2. [ 一 ] ( :ボフ ) 仏語。
    1. 一切諸法を五つに分けたその一つ。また、心と色とに分けたうちの、心のはたらきの総称。心、意、識などともいう。⇔色法
      1. [初出の実例]「すべて心法のゆきかた様子をしらざるなり」(出典:正法眼蔵(1231‐53)三十七品菩提分法)
      2. [その他の文献]〔法華玄義‐二上〕
    2. 真如、心性などといわれる一心のこと。この一心が固定した形がなく宇宙に遍満していることを心法無形(しんぼうむぎょう)という。
  3. [ 二 ] ( :バフ )
    1. 心を修める法。精神修養の方法。特に、宋代の儒学で、心の体を存養し、心の用を省察する方法をいう。
      1. [初出の実例]「よく閑におさめて、枯木のごとくひへたる灰のごとくせよと云。荘子か心法なり」(出典:慶長見聞集(1614)一〇)
      2. [その他の文献]〔白居易‐夢裴相公詩〕
    2. 困難・苦痛をたえしのぶこと。堪忍。忍耐
      1. [初出の実例]「夫に本望遂させ、弓矢の名を揚げん為、是に増る憂目をも、凌ぐは女の心法(シンハフ)」(出典浄瑠璃・仏御前扇車(1722)三)
    3. ( ━する ) つとめはげむこと。
      1. [初出の実例]「七年忌までの心法したる者どもを」(出典:浮世草子・立身大福帳(1703)四)
    4. もうけ。利益
      1. [初出の実例]「あしもとにありとは、鬼神ふしぎの発明、一代十万貫目の心法なり」(出典:浮世草子・立身大福帳(1703)一)

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「心法」の意味・わかりやすい解説

心法
しんぼう

仏教では,ありとあらゆる事柄を色法と心法とに分けて説明する。物質的なものを色法とするのに対して,精神的なもの,すなわち心の働きのあるものを心法という。心王心所を心法と称する場合と,心王そのものを心法と称する場合とがある。

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