応力緩和(読み)おうりょくかんわ

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「応力緩和」の意味・わかりやすい解説

応力緩和
おうりょくかんわ
relaxation of stress

応力弛緩ともいう。物体一定ひずみを与えてそのまま保持するとき,物体の応力が経過時間とともに次第に低下する現象で,粘弾性挙動を示す物体ではある特定の温度範囲で顕著になる。保持するひずみ γ0 が十分に小さいときには,ある時間 t における物体の応力 σ(t) は γ0 に比例し,σ(t)=γ0G(t) の関係式で表わされる。この G(t) は時間に対する単調減少関数で,過去のすべての負荷履歴に依存し,緩和弾性率と呼ばれる。また,応力 σ(t) が当初の応力 σ0 ( γ0 に相当する応力) の 1/e (約 36.8%。 e自然対数の底) まで減少するに要する時間を緩和時間といい,緩和しやすさの目安にする。

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化学辞典 第2版 「応力緩和」の解説

応力緩和
オウリョクカンワ
stress relaxation

物体にあるひずみを急に与えてそのひずみを一定に保っておくとき,応力がその時間経過とともに単調に減少していく現象.このときの応力を緩和応力といい,緩和応力をひずみで割ったものを緩和弾性率という.応力緩和の測定は,粘弾性の実験として重要なものである.無定形高分子固体や粘弾性液体では,時間が十分経つと緩和応力は0となるが,橋かけや結晶のある高分子物質では,応力は有限の値に近づき,平衡弾性を示す.なお,広義には,定常的な流れを起こさせた後,ひずみ速度を急に0にしたときの応力の減少など,ある変形履歴後,急にひずみを一定に保ったときの応力の時間経過に伴う減少を含めて応力緩和という.[別用語参照]クリープマクスウェル模型

出典 森北出版「化学辞典(第2版)」化学辞典 第2版について 情報

栄養・生化学辞典 「応力緩和」の解説

応力緩和

 粘弾性物体に急速に一定の変形を与えてそのまま固定した場合に,応力が時間とともにしだいに低下していく現象.

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世界大百科事典(旧版)内の応力緩和の言及

【レオロジー】より

…逆に,この高分子物質の固体に一定の伸びを与えて放置しておくと,時間の経過とともにその伸びを保つのに必要な力は減少してくる。この現象を応力緩和という。これも流動が起こることと対応している。…

※「応力緩和」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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